ISBN:4063725502 コミック 安野 モヨコ 講談社 2006/10/06 ¥540
「天才に奉仕するのは喜びだから」/梶 舞子(32)
身を捧げると言ったら言い過ぎかも知れないけれども、そう思える程の「天才」の側に居たいと常々思う。
これはもう昔から言っていることだが、私が一番憧れている女性は、柴田倫世さんである。
元日本テレビアナウンサーで、ボストンレッドソックスの松坂大輔の奥様。
松坂の天才っぷりは、彼が高校二年生の時だから、かれこれ十年も見ていてよく知っている。
私が松坂を好きな理由は、ほんとうに天才だと思うから。
イチローも天才だとは思うけれど、やはり同じ歳の松坂の方が「親近感」といった点でも好きだと感じる。
そんな彼と結婚した倫世さん。
三十歳までバリバリ仕事をこなしていた彼女があっさり結婚して退社することができたのは、彼の天才の部分に惹かれたからだと思う。
そして、その可能性に賭けた。
日本で出産をし、翌年彼とともに渡米。
年下の彼を支えるのは大変だと思う。
何度も別れるところまでいったと言うし、彼女の自宅へ向かう途中、スピード違反でつかまったりもした。
それでも。
天才に仕える喜び。
すごくすごく、憧れる。
働く人はかっこいいし、仕える御主人様(?)を探し当てた人もかっこいい。
何が言いたいかというと、今の私は残念ながらそういう状況には居ないということだ。
これからの時代、なにかと大手がいいとすり込んだのは私だ。
たくさんの会社を受け、落ち、受け、やっと決まった会社。
彼には「やりたいこと」が無かった。
それが悪いとは思わない。
私のようにあれもこれもやりたい人の方が少ないだろうから。
だから、目の前のことをしっかりする人になって欲しい。
そのためにはやはり大手がいいのだ。
まだ入社して一カ月しかたっていない若造に、会社は何も期待してはいない。
そこをいかに、期待の人物になれるようにもっていくかが重要だと思っている。
だから、彼がいまだにあの会社がどうとかこの会社だったらとか云々とぬかすのが気に入らない。
それが他業界だからなおさらだ。
そんな人を、私は尊敬できない。
先月、「見下したような態度をとる人とはもうつきあっていけない」みたいなことを言われたときに思ったのは、「それは単なる劣等感ではないか?」ということだ。
男の劣等感にはうんざりだ。
なにもできないのに自信過剰なのも困るが、ひとつ「これだけは」という勝負できるものを探せ、と思う。
私の場合は単なる消去法だ。
私にはもう、この業界でやっていくしか能がない。
だから、この業界で必死になってやっていこうと思う。
そう、必ずしも尊敬できるという存在ではないのだ。
これから変わっていくのかも知れないけれど。
ついこの間まで学生だったんだから仕方がないことなのだけれども。
とにかく今は、彼のストレスを受け入れることはできない。
なぜなら、私がいっぱいいっぱいだから。
というか、今楽しいから。
仕事も慣れてきて、楽しいから。
邪魔しないで欲しい。
いつからだろう、つらいときに支えあえる関係でなくなってしまったのは。
私がつらいときに支えてくれなかったからだろうか?
私は仕返しをしているのだろうか?
月末にこっちに来るかも知れないのだが、実はあまり会いたくない。
ちょっとしんどいんだ。
頼られているのはわかるけれども、しんどいんだ。
「甘え」と「甘ったれ」は違うんだ。
とにかく。
どちらにしろもっと社会に揉まれて来い、と思う。
それか、汚れの知らない子を探せ、と。
私はもう、闇を知ってしまったんだ。
もう戻れないんだ。
汚れてるんだ。
きれいになんかなれないんだ。
「びっくりするほど働かない梶さんには適いません」/松方弘子(29)
働かないポジション、ってのもアリだと思う。
現実を受け止め、自らが立っているポジションを確立する。
そんなスペシャルな人間に御奉仕したいと思う私は変態でしょうか。
『働きマン』関連はたぶん続きます。
新二のヘタレっぷりにつっこみたくて仕方がない。
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