中学校の部活

私の通っていた中学校では、部活に入ることは強制だった。
私は小学校６年間通っていたピアノをいかし、音楽がやりたいと思って、吹奏楽部に入ろうとした。
フルートかトランペットをやりたかった。
しかし、父の反対にあい、断念せざるを得なかった。
自分の意思とは関係なく始めることになったピアノ。
続けようと思ったのに急に取り上げられた音楽。
父は私に「運動部に入れ」と言った。
運動が大の苦手だった私は仕方なく「一番動きが少ない」という理由で卓球部を選んだ。

同学年の部員は12人だった。
これは、団体戦でA、Bと２チームが組める、ちょうどいい人数。
（団体戦は、シングル４人とダブルス１組で行われる）

ふつうは、Aが一軍、Bが二軍的な扱いだ。
しかし、私のいた学校では、そうとも言い切れない部分があった。

A、Bの決め方は、総当たり戦だった。
私は、部長からリードを奪っていた。
すると、部長の取り巻きからの野次が飛んだ。

「あんな奴に負けちゃダメだよ！」

部長は苦戦していた。
野次を飛ばした子はAチーム入りほぼ確実。

私は部長のこともその取り巻きたちも大嫌いだったので、絶対に負かしてやりたかった。
少女マンガのお嬢さまみたいな名前しておかめ納豆みたいな顔の奴なんかには負けたくない。

けれども。

ここで勝ってしまったら、取り巻きや、もしかすると部長とも同じチームにならざるを得ない。

私は手を抜いて、その後わざと負けた。
Bチームには、同じような子が集まった。

大会トーナメントなんてどうせ抽選なんだから、最初から「仲良しグループ」にすればよかったのだが。
部長とその取り巻きたちの「私たち、勝ってAチームなの」気分に浸らせてやった。
私はそう思うことにしている。

部長たちは無駄な「後輩いびり」をしていた。
と言っても、後輩の面倒をみるのはBチームの仕事なので、私たちは命令だけ聞いてウラでこっそり後輩たちを解放してあげていた。

「先輩にやられたから私も後輩にやる」では何も変わらない。
だが、ユルくしていたわけではない。
時間を守ることと挨拶だけはきちんとさせた。

当然のように、部長たちは後輩から信頼されてはいなかった。
ただ、かたちだけは取っていた。

「裸の王様」という言葉がピッタリだ、と、今になって思う。

あのおかめ納豆は今何をしているのだろうか。
「お局さま」にでもなっているのだろうか。